デッキ構築論~確率面から~
ふと気になったのでざっくり計算してみて考えたものをメモとして残しておきます。
もしデッキ構築に悩んでいる人がご覧になった場合に、何かの参考になったらと思います。
皆さんはデッキを組む時、デッキに入れる枚数をどのように決めているでしょうか?
気分?
雰囲気?
色合い?
経験則?
他のデッキレシピを見て?
人それぞれ何かしらの基準はあるのでしょうが、今回は確率の面から考えてみたいと思います。
※結構長めな記事になると思います。
・はじめに
基礎知識として、1枚積みと3枚積みの場合の初手確率を見てみましょう。
初手5枚のうち、40枚デッキから1枚のカードを引き当てる確率はおよそ12.5%ほどになります。
そして、デッキ枚数を同じにした上で3枚積みした場合の初手確率は33.8%ほどになります。
計算としては、以下のような感じです。
初手確率=1ー{〔(dーd2)Ph〕÷(dPh)}
デッキ枚数:d
採用枚数:d2
手札枚数:h
Pは順列という計算方法で、例えばdPhと書いた場合はdからh個抜き取るパターンの数を計算しています。
上記の例でいくと、デッキ40枚手札5枚のパターン数ですね。
細かい話はおいといて、1枚より3枚の方が初手に引く確率が約3倍ほどになることが分かります。
体感としても分かることですが、数字としても上記のように明らかなものです。
・初動に必要な枚数は?
そして、下のグラフが数値の変化を可視化したものになります。
上記のグラフをぱっと見た感じ、9、10枚目以降の確率の変化が緩やかになっていることが分かるかと思います。
なので、グラフで見る感じだと8枚前後がデッキ枠から見たコストパフォーマンスが高いように見えますね。
確率としては8枚で69.4%ほど、9枚で74.18%ほどです。
ただし遊戯王では同名カードは3枚までという制限があるので、サーチカード等で水増しをすることが多いです。
例えば2019年6月現在での環境デッキ、幻影オルフェゴールで話をすると採用が多いと思われるのは
夢幻崩界イヴリース、トリックスター・キャンディナ(トリックスター・ライトステージ)、閃刀起動ーエンゲージ(閃刀機ーホーネットビット)、SRベイゴマックス、終末の騎士、トーチ・ゴーレム(ダーク・オカルティズム)、などなど
他の多くのデッキ初動可能枚数はサーチを含めるとキーカード1種類、サーチカード1種類の6枚、確率的には57.71%程度なので、上記のことから幻影オルフェゴールは初動展開パターン開始の枚数や手段が豊富であることが確率的にも分かるかと思います。
初動に採用できるカードの数が他のデッキと比べて段違いなのです。
また、合わせて初動に2枚必要な場合の確率もピックアップして以下に併記しておきます。
3枚+3枚:11.89%(1種類 6枚:57.71%)
3枚+6枚:19.48%(1種類 9枚:74.18%)
3枚+9枚:25.04%(1種類12枚:85.05%)
6枚+6枚:33.31%(1種類12枚:85.05%)
6枚+9枚:42.81%(1種類15枚:91.93%)
9枚+9枚:55.02%(1種類18枚:96.00%)
ご覧の通り、2種類のカードを必要とする場合の確率は1種類の時の同枚数と比べてガクッと下がることが分かるかと思います。
上記で見る限り、2枚始動を安定させるにはデッキの半数を初動に費やす必要がありそうです。
初動に必要な枚数が増えるコンボデッキの安定性の低さが、この辺りから見えてくるのではないでしょうか。
因みに、蟲惑魔だと可能であればモンスター、罠カード12枚ずつ(72.36%程度)は確保したいですね。
ウィッチクラフトでも同じ割合で確保しておけると安心でしょう。
要はこれがメインギミック稼働を安定させるための必要枚数になります。
具体的には40枚デッキの場合、幻影オルフェゴールだと9枚前後、蟲惑魔やウィッチクラフトだと24枚前後あれば初動が安定します。
ただし、ここまではあくまで「初手を安定させるための必要枚数」であるためメインギミック自体の安定性とは別の話であることは頭に入れておかなければいけません。
・メインギミックの構成枚数
今までの話から、デッキに残しておかないといけないコンボ用のパーツは、たとえ1枚しか入れていなくてもおよそ12.5%で手札に来ることになります。
手札に来て本当に困るものは、採用できても2枚(23.72%)が限度でしょう。頑張っても3枚(33.76%)に抑えるべきです。
閃刀姫などの強さはこの辺りにあり、純構築だとデッキに残しておかなければいけないカードはほとんど存在せず、また初動の枚数も2019年6月現在だと閃刀姫ーレイ、閃刀機ーホーネットビット、閃刀起動ーエンゲージの6枚(57.71%)に加えて閃刀空域ーエリア・ゼロ+閃刀機関ーマルチロールの6枚(11.39%)を合わせた69%程度確保できます。
上記をフルに投入したとしても12枚構成で、デッキ余剰が28枚できますのでドローソースや回収ギミック、妨害系のカードをふんだんに投入できるのです。
この点を極めていたのは全盛期の十二獣で、メインデッキの最小構成枚数は十二獣モルモラット3枚、最大9枚(74.18%)でのメインギミック始動が可能で展開や除去がエクストラデッキで可能だったので余剰デッキスペースが30枚を超えています。
蟲惑魔やウィッチクラフトもこれくらいで回せる時代は…来ると規制されそうなので勘弁願いたいですね。
こういうことを考えながら、メインギミックの枚数は決めていきましょう。
・ドローソースの有用性
初手でドローソースがあった場合、メインギミックの安定性はどのくらい上がるでしょうか。
実際に計算してみた結果は以下の通りです。
3枚積み:33.76%(1ドロー:39.43%)(2ドロー:44.78%)
6枚積み:57.71%(1ドロー:64.96%)(2ドロー:71.14%)
9枚積み:74.18%(1ドロー:80.82%)(2ドロー:85.90%)
上記の計算は手札にドローソースがあることが前提の確率なので、実際はドローソースの積み枚数に応じた確率で上記の確率にぶれることになります。
例えば上記の閃刀姫に強欲で貪欲な壺と成金ゴブリンを3枚づつ積んだ場合、57.71%程度の確率で71.14%+20.05%まで初動の安定性が上がります。
ざっくりとした期待値としては80%後半といったところでしょうか。
上記のことから、2ドローは安定性を上げるのに十分効果があると判断できます。
2種類3枚づつ(6枚:57.71%)があれば初動の補助としては充分でしょう。
・で、どれくらい何を採用すればいいの?
今までのことを踏まえて、蟲惑魔でのカード採用のバランスを考えたいと思います。
まず、メインギミック(セラ召喚用の蟲惑魔+セラ発動用の罠)の枚数。
確率的に言えば、ドローソースなしなら12枚ずつ(72.36%)、ドローソースありなら9枚ずつ(73.78%)あれば安定しそうですね。
実際は蟲惑魔モンスター側に罠のサーチカード(トリオン)があるのでもう少し確率は上がるでしょう。
※トリオンを加味した確率
トリオン3枚:33.76%(ドロソ込:44.78%)
他蟲惑魔+罠、合計15枚:~44.37%(ドロソ込:63.17%)
合わせて18枚程度あれば初動は十分でしょう。
そしてセラのギミック用に落とし穴を確保する場合は、5枚程度あれば半数はデッキにほぼ残る計算になるのでメインギミック用の罠に落とし穴を含めていなくても十分かと思われます。
残り17枚のうち、初手での妨害を引きたいならば手札誘発などの妨害系カードは8枚程度ほしいですね。
2種類以上欲しい場合は12枚以上を考えなければいけないのであまり現実的ではないかもしれません。
残り9枚がサブギミックまたはメインギミック補強にあてられる枚数となります。
今の主のデッキではティアマトンや機界騎士が入っています。
実際主が現在組んでいたデッキで確認してみた所、細かな枚数の差異はあるもののおおよそ上記のような枚数で採用されていました。
確率的にも比較的安定するデッキだったようで安心しています。
ただし確率的に見た場合もう少し詰められそうな感じでしたので、カードの性能と見比べてじっくり吟味していきたいと思います。
こんな感じで構成を詰めていくこともできるようなので、数字に強いようでしたら一度お試しください。
主の数字が間違っているかもしれないので、もし確率論でデッキ構築をする場合はぜひ自分で計算してみてくださいね。